久々に楽しんで本を読みました
本を買ったものの、読み進めたが
面白くなかった=失敗=なんで時間をムダにしたんだろう
と思うタイプの方が確実に増えているんだろうな、と思う。
売れている本のランキングを参考に、1位なら読む、受賞作なら読むと、何か失敗しない条件が付帯しない限り手にとってもらえる確率が低くなっている気がする。
こう書いている我々も、こういう方たちが失敗しないような本を仕入れようとしているからでもある。「売れそうな本」=「何かで紹介されそうな本」、そんな本を探すのに必死に日々、情報を集めたりしている。
読者側の時って、なんかいい本ないかな、と書店に入って、裏表紙のちょっとした
あらすじを見て、これ読んでみよ、というのがひとつのパターンだった。
なのに、売る側にたつと、「売れそうな本ないかな」にウェイトがかかりすぎている
自分がいる。これが完全に読者の目線が抜け落ちている典型だな、とも思う。
昨日の晩から、今日にかけて久々に、そんなことを排除して気楽に文庫本を一冊読んだ。「月のぶどう」(ポプラ社)680円+税。
なんでこれなんだ、と言われると、数を多めに発注していて、目立ったから手に取って、裏表紙のちょっとしたあらすじを見て、
「逃げてばかりの人生を送ってきた弟の歩は、家業を継ぐ決意をする」
ってところに引っかかり、買った。(私は一人っ子ですが)
まだ、発売されて間もない文庫本。たぶん、河内長野のワイナリーなんだろうな、と推測する。表紙が女性に手に取ってもらいたいような装丁だけども、そんなことは全く気にしない。
「なんか引っかかった時が読み時だ」
といつも思っている。時間にして、4、5時間なのかな、でも読みだしたらいつも
こんな感じだ。映画は2時間で1,800円かかるけど、文庫本なら好きなかっこで家で読んでも4、5時間かかろうが、これなら680円+税で楽しめる。
正直、最近つまらないと思うTV、ドラマより、これの方が数倍面白かった。
自分の頭の中で好きなように登場人物をイメージして楽しめるからなんだと思う。
純粋に小説を読んで楽しんだのは、どれくらいさかのぼるのがわからないくらいだ。
売れそうな本、はもちろん書店として大事なんで、すごく忠実に「売れる本」の手配に
走り、「売り逃しはすまい」と必死にみんなが取り組んでいると思う。それだけ世間が情報に敏感だし、その情報量も昔からして雲泥の差だ。
やっぱり、「こんなんあるんや」という発見が演出できないとダメだと、読了後になんか改めて思った。今の読者の方々も、「情報に忠実な書店」だけど「発見がない書店」を見抜いた上での利用なのかもしれない。
自分で読んだ本、それで面白かったのを薦める、ってのが地味だけども一番個性化につながるのだと思った次第です。
「月のぶどう」詳しくは書店店頭でぜひ、見てください。